TORABARA むつき31日

ふたつ。結果が予想されていてAとB。できればBがいいと思っていて、もしもBになったらあれもしよう、これも買おう、どこそこへ行こう。というのを羅列して書き出していた。ノートにね。それでまだかまだか。Bになってくれ。と待っていたわけ。

まさかBをきぼうしてないでしょ、あなたはAをきぼうしているはず。と、周りはおもうわけで、じっさい、Aになって、よろこびのこえが届いた。しかし、

Aになった場合のやりたい事、やらない事、買う物。ほんとうにこんなの買うの?これ、いったい何の約束だったの。赤ワインを地元の酒屋でいっぱい、買いたいの?Aでなくていいのに。

ところで、今日の夕刻、自転車で走ってる道に、新しい木の香り。新築の、家の柱。ワクワクするよね、家を建てるって。

朝の公園で、まんまるにふくらんだ梅の、花が咲く前の、まんまる。枝じゅうぎっしり、これから咲く時が、好き。咲いたら枯れる。

またもやBの話。わたしのやりたいことリストだったりする。1年ぶりで行きたい洋菓子屋さんマッターホン。インドの朝の香りがする香水か、MIUMIUリリーオブバレかCHANELロールージュ。イスタンブールの宝石屋さんでネックレス買う。カラヴァッジョ画集。白浜の温泉、大歩危小歩危。

Bになったらヤケクソに全部欲しいと考えたけど、Bでなくても欲しいものは欲しい。それでどうしようか、

毎日新聞の購読、朝は6時に起きる、来月は手作りの服を2着仕上げること。ノルマみたいな抱負。いっそのことAB結果にひもつけたられつをひっくり返してもいいってことにするか。

TORABARA むつき30日

どん底な気分から一夜明けて、あっけらかんと、しつぎょうしない、しつぎょうになるようなきげんのつかない、ケイヤクを得ている連絡が入っていた。

まるで不感症で、なんにもうれしくなかった。

時間が長くかかりすぎていたことも一因だけど、ここでなければ別で。変わり目は、天からの合図のように、今まで放浪してきているので、わたしは不安をかんじにくい性質というか、固定を好まなくてもやってこれた。

一つの場所にしがみ付くだけが美学ではないことは学んでいる。30年間、同じショクバだけにしか通わなかった女性の、古い畳が匂ってるようなザマ。しがみ付くことだけがアタマにある人のしがみ付き方の、ぶざま。そんなことはやらなくてもいいのに、これをやることで仕事存続があるという相関関係を間違えて、無駄な必死さを発揮していて、滑稽だったりする。

自尊心。年を重ねて過去の自分の優越感を、くり返ししゃべるしかないマシン化したような先輩の御仁方。年寄り臭の一種でもある悪臭に、鼻をふさぎたくなるかんじ。

女の自尊心は、認識の狭さによってより一層の悲壮感がただよう。なぜにそんなことで自尊心がくすぐれるのかという、脳みそ容量の、寡なさに、目を伏せたくなる。

それで遠慮してしまうわたし。口がきけなくなるパタンって、相手の想像力が乏しいことが明らかになったときに起こる。わたしから何をしゃべっても誤解され歪む時。うけとる器の無い相手に、底が抜けたままな応報、いつまでも対話以前なままなやつ。

なんの話だったっけ。とにかく祝われるような日で、夜、日本酒もいただいたけど、マヒしていて、さっぱり、めでたい気持ちではなかった。神さまは、できそうなところへ運ぶ。雇われなくても自力で事業を始める。このチャンスが遠のいたみたい、とぼんやり考えた。

TORABARA むつき29日

夜のお洋服の売場へ行こうとしてソワソワしていたのだけど、いざ、行ける時間になって、べつに。というていたいしたきもち。パッと、出かけたらよかったか、夜の公園を歩いて突っきるのも爽やかだったであろうよ、

なにかが引っぱっていて、わたしの意に介さない、昼間の電話のせいか。そのコは早口があたまいいっておもってるわけ?意味の置き方が、一行ずつズレるかんじ。いいえ、まるでまちがっている。

ケイヤクをシンサする相手を知らせてはいけないらしい所、何かをかくしながらしゃべられて、聞き取りづらい。評価という観点ではなく、作ってはいけない前例かどおかをシンサするらしい。コトナカレ、に殉じることを徹底する。みたいなサラリーマンの捏ねる、そのキョウギとやらの朧げさが得体の知れないかんじ。

風呂のフタが、うす汚れていることが気に食わないから、しばしフタを磨いた。なぜ、フタはプラスチックでできているか、そもそも、風呂場に使ってある素材、まちがってませんか、床もドアも浴槽の壁も、カビが生える仕組みをわざわざ設えて、物に掛かりきりになって振り回されているしかない。

いったいわたしたちは、なにをやっているんだろおね。

TORABARA むつき28日

そろそろ髪を切って染めるか。美容院のネットを見に行ったら、私にメッセージとクーポンが届いていた。行くわね、今日午後5時に。

お近くで美術展、こちらも見ることにする。とても静謐な空間。いまのわたしがほしいヨウソに、出会うよね。宇宙のリズムそのものなながれ

ガラスのコップ
すこし歪んでいるグラス
シェリー・赤・白・ゴブレット・シャンパン

すてき。髪の仕上がりもよくて、ショップビルに寄ったら憧れのお店が今月末の閉店セール、ここはぐうぜん。こんなに高級よ、形キレイよ、が手に届いた。もうほとんどプレゼントみたいな出来事。

貪欲に、お洋服をひきよせてくることが、私にとって是。

TORABARA むつき27日

缶と瓶のガチャガチャする音で目が覚めた。きょうは回収日。間に合うか、慌ててパジャマを脱ぐ、セーターとかズボンとか着替えて、空のワイン瓶つかんで外へ。小型トラックは、となりに進んでしまってるけど、駆け寄った。これもお願いします、と手渡した。作業のおにいさんの丁寧さよ。

それにしても随分ねむった。こたえてるもん、もう、なにかしょくに就いてるってわだいだけでサワル。きにさわる。

今日のわたしは、長閑な公園を少し歩きたい。もう、夕暮れの鐘が鳴った。ここに来るのにも寄り道で洋服屋さん。一枚、未知なかんじのする服があった。青いミニドレス。

枯木のシルエット

美術展へ行ったら作家本人らしきひとと後輩であり客なひと計三人が展示通路真ん中で立ち話。そこを体を斜めにして通って、展示物を見た。作家ってにぶいよね、退けって。とおもった。

日本の中に居れば、天体世界の神話とつながるにはノイズがあり過ぎるのかもしれないね、おばちゃん風な会話してるの聞いちゃってるけど、チェコ移住することで昔ながらの良き味わいが残ったままな作風をかんじた。チェコのクリエイティブの魅力は、チェコ民話にヒントがあるのだったりして。この日本人が挿し絵かいてる本を手に入れてみた。感想、たいへんよい・よい・ふつう、なら、よい。に一票。

レモンサイダーを飲ませる店で休憩。すこし変わった毛糸のビスチェも買う。それから材料やさんの毛糸コーナーで、次に欲しい毛糸に目星つけた。ウールとシルクでできている毛糸が大人。色は白にしよう。

TORABARA むつき26日

答えの期限は今日な筈だったけど、答えは出ないと連絡が入る。これは、むしろ答えだった。つまり向こうからは答えをだしていない。というのが、答え。

夜道で自転車を漕ぐ。花の薫りも混じる。早咲きは、梅、ほかにも何かの芽の匂い。クリーニングを受け取る。そこのおばちゃんと、あーだこーだおしゃべりして、あら私○×っていうのよ、もうひとりの店員は△△なの。などと名前を教えてくれた。幼稚園に通ってる頃からオトモダチになる方法は一緒かもよ、なんかほのぼのしてる。

黒い粒、やわらかいのがクセになっていて、タピオカ。温かいのをオーダーして、お茶屋の2階で飲みました。窓がなくて、電車通ると揺れる。斜向かいに以前あったコーヒー屋と、そっくり同じ雰囲気のおじさん達の溜まり場だった。土地って建物ちがってもおなじに見えるの、なんだろう。構成要員の雰囲気が浸透してゆく町。

お料理、下拵えを次々とやらねば。とても時間かけて、赤ワインのグラスをお台所に置いて、すすりながらすすめる。夜10時にやっと夜ご飯。鰤を焼く。ほうれん草、ネギ、油揚げの味噌汁。もずく酢。ボロン、とかいうお菓子を一口食べた。

TORABARA むつき25日

公園の満開の梅がある地帯を見渡して、花はボサボサした咲き方、寒い空と、白い花。

一枚一枚、MILSTEINのCDをかけてゆく。バイオリンの音が耳の近くで鳴り響いて、なにがしみたというのだ、ボロっとなみだがこぼれた。そのままボロ、ボロ。と泣いていた。音が。

音に、引っぱられる。音にふれることでしか引っぱり出せない、わたしの深くかんじている何かが、バイオリンの音色と呼び合っている状態。泣きながら心地よくもあった。

ここの、日記に文字にして、ストレスは言語化して解消してある、済まされている。つもりだったけれど、そうじゃないのだ、辿りつくことのできない、神秘界みたいなところへ誘われ洗われゆくもの。言葉が貼り付けてしまっている物物の位置のようなのをはがせ。まだまだ、こたえていたなんて。

他人の、世間話。他人事みたいな自分事。核心が突けないままな、もうろうとしてわたしたちを包むもの、ほんとうは知っている。音楽の中に、正体があって、音楽家は、この正体と一体化している。音楽家は、わたしの痛みそのものでもあるかのような、旋律が紡がれるそのこと。だった。

白い梅の、ボサボサ。

カード占いをして、嬉しい結果をノートに書き留めた。

夜、久しぶりに4時間くらい、毛糸編みしました。

TORABARA むつき24日

フィルムカメラを持参して、限られた10枚を撮影する。デジカメだと限りなくシャッターがきれるから、つまりいくらでも「消せる」。なぜフィルムカメラにこだわるか。だって自分がやってきたことは消せないだろ。語気は強く、このひとの真にかっこいい精神を、垣間見たおもいがした。

先の、海の傍に行った日に電池切れの心配から、絶好の海に落ちる夕焼けの筋。を撮影しなかった件。目の裏には焼き付けたけど撮ればよかった。その日の写真は、わたしはそもそも10枚くらいしか、シャッターをきらない。これはこれで、もともとの精神が潔いのかも、わたし。

昨晩のトークショーの余韻が、ふっとよぎる。ネットワークが厚く、文化の濃い領域に踏み込んだ体験。縦横無尽な地球のカンカクが備わっている。わたしにとってこの冒険家は、世間話を聞くのに申し分のない人物。あくまでも、お隣りさんの世間話にとどめる。わたしには、わたしの人生がある。わたしが操縦するしかない。

えーっと。電池切れないためのバッテリー買いました。お出かけ先に、これも持参するといいわね。

今日は、もしかして寒かった?薄着なまま、はくしょん。を何度もしていた。ステンレストップの机、冷たいっ、と手を離したりした。夜の時間に毛糸編み。袖を二枚仕立てにする試み。ゴール見えてきた。

それとりんごパウンドケーキ、焼いた。ケーキ焼いた時の写真の見た目、変わり映えがない。

生クリーム入り。