朝、明けてみて、昨日終日寝込んでいた家のひとの事情を知る。夜中にタクシーを拾い、歌舞伎町へ行った。ここまでは予想通り。そののち、ぼったくりの店へ入り、支払いを拒み、表に出て殴り合いのケンカになったらしい。
なんだそれ?
通りの人に通報され、ケイサツから、とにかくもう帰りなさい、とタクシーに押し込まれた。帰宅してみたら財布を落としていた。タクシーがまたしてもケイサツを呼ぶ。
なんだそれ?
とにかく、この話を淡々としている様子が自分に陶酔してんのかよ、という不良少年自己愛みたいなのにイラっとして、(少年じゃあるまいし)気持ちを遠のかせながら、なにか浮かばれないムードに、わたしの休日は巻き込まれてしまったと感じる。
休日料金の銀行入金をして、タクシー会社への料金振込をする。
近所にある、こぢんまりしたチロル料理屋へ行く。隣の席に座ったカップルの会話が丸ごと聞こえてる狭さ。お洒落に敏感で穴場のお店を知ってます、みたいな一見さんが、押し寄せて来ていて流行っている。予想通りの、お高くとまった輩が、店を埋めつくしていた。こういう唾の付けられ方をしているお店の居心地は悪い。
選ばれしロープの上を歩いてる最中、みたいな会話。頻繁に、私学の最高峰だと本人が鼻にかけてる学校名、連呼。女の相槌はだいたい、凄いー、だった。
こういう会話が、家のひとの耳には全く入らなかったらしい。聞きたくないことに閉ざしていられるところは見習いたいです。それにしても
家のひとのやらかしたことは救いようがなかったし、休日は、どんよりとした気配がたれこめたままだった。せっかく美味しいお店に行ったけど、あんましたのしめなかった。