たまに、夢に出てきて会うひとがいる。実際に過去に付き合いがあった人の場合もあるけど、そのひとは、口はきいたことが無い。高校2年の時に同じクラスだったひとで
日本に名だたる文学賞がふたつあるとおもうけど、そのひとつに輝いた。そのひとは、全く口をきかないひとだった。黙って周りを観察している。口元に綺麗にたたんだハンカチを充てて、教室の外廊下の窓から半分顔を風にあてつつ、廊下で戯れる同級生たちのことを見ていた。ふっふっ。と、わらいごえをかすかにさせて。
その、黙って観察している姿を、見たことがあって印象に残していて、ゆくゆく、その彼女に内蔵されていた大きすぎる才能が、花開いた。わたしの、目のつけどころが、人を見ることに於いて、おさえておくところが、わたし、凄いと思う。
夢では彼女とじっさいに対話をして、わたしは何かを聞き出そうとしていた。それが排他的なかんじではなく、同じ島にいる人同士みたいだった。
それで、大きなあたたかさのようなのが、眼が醒めても漂っていた日。