TORABARA かんなづき12日

しゃべり慣れている相手とだけお喋りしていたひとが、気を遣ってひととしゃべった、ことで、しゃべり言葉にしなければ、というスイッチが入って

入りっぱなしになっている日。

うるささを、蝿の文字を使うのって、まさしくこの、ブワンブワンと脳内を駆け巡る、しゃべり言葉製造マシン化しそうな〝it〝を表現してると思う。うるさーい。

久しぶりに庭園を歩いてみたい。朝早いと、年寄りが群れになって庭の解説する、そのひとも年寄り。なガイドツアーが開催されて、よたよた。どんより。覇気とか活気とは違う、家の中に居場所が無くて外に出てきちゃったひとたちの臭いだった。足早に通り抜ける。

石でできた橋は、いい風が吹き抜けて、いい処だった。月見とかするらしい橋。

すぐそばの本の、ミュージアムへも行く。とにかく私の脳内の騒音。昨晩の会話を続けている、まるで読んでる文字がはいってこない。やり直し。最初から展示されているテキストを、ちゃんと読む。何度めかでやっと、ああ理解した。という症例っていうんですか、これ。

次。美術館にはいってるホテル系喫茶にて、サンドイッチ。迎え酒みたいにグラス、白ワイン。お庭におちる木漏れ日をぼんやり眺めた。まだ、脳内ノイズが消えない。そしてここのボーイさんがヌシになり過ぎていて、知り合いかよ、みたいなサービス、古風じゃね?今日、これは居心地が悪かった。

念は、歩き回ることで振り落とせるか。さらに上野駅から湯島駅への通路みたいに、動物園に入って通過しただけ。人混みが、ひどくて、あんまり見えない。象さんは、象の国みたいに、象使いのひとにつきっきりに世話を焼いてもらったり、お絵描きやボール遊びを教えてもらうほうが幸せなんじゃないか。同じ動作を繰り返す丈なようす、右左右左。見ていられない気持ちになる。可哀想。

いま、いちばんおそれている動物の、白いやつの、写真撮った。

出てきちゃだめだからな、おまえの仲間にも言っとけ。

明日から、山に行くので。

夕方、帰宅して荷造りをするはずが、さっぱり、手がかりがさがせないような気分。1時間、半身浴する。ごぼうと鶏肉と長ネギで煮物にした。春雨も入れよう。

それでまた、ぱったり、荷物どうするかあたまがまわらない。父に電話して、前回の旅の話をした。父は本を出版するらしく、わたしの描いた絵が表紙絵になる。何年か前に描いてたやつ。奥付けに、わたしのことを紹介する文を載せるとかで、捏造じゃねーか、みたいな思い込みをツラツラ言ってて、ゆだんならない。ちゃんと校正させてもらうわ。

いったん、寝る。

TORABARA かんなづき11日

職場の人の集い。全員来るって。これを断りたくて重たい気持ち。もしもまだ、今の職場にいるならば行った方がいい。どうにかならないか。端に座ろう。

そして参加してみて、なんか、突き放しつつ、つながるかんじ。いい形している。

先日のわちゃわちゃしたおばさんは、嫌ではなくなってた。なにしろゆいいつ、長めにしゃべったことがある相手。おばちゃんの身内が病気してすぐに亡くなったことで、人生に対する観念が変わったらしい。人は死ぬ。あんないやなおじさんも、死ぬんだ死ぬんだ、とおもうことで、ゆるせなかったきもちがゆるせるようになる。だそうです。

開き直って、あけすけに突進するみたいな周辺への人あたりがある。らしい。

TORABARA かんなづき10日

一年前の今日は、谷川岳へ行った。

今日は普通に、おつとめの日だった。朝、迷っていたお買い物の決算ボタンを次々と押した。夜、大粒のレーズン入りカップケーキを焼いた。

図書館へも行った日。予約していた本をピックアップ。山について。紅葉について。予約してた気がするタイトルの本が普通に本棚にあった。

何か、能力について。頭で限りある予知をする、それを「知」と名付けていた、外に、なにかその無限な、体が知っていることがある。

今日の本棚に並ぶ、本の面子が、わたしに出会うためにそろっていてくれている。というかんじ。

TORABARA かんなづき9日

雨で、まったく外出しなかった。

同僚のひとと交わした会話が、何故に好きになれないか、を考えている。50代半ばの主婦が、へしゃげた声を出して、つまらない現実をなぞっていた。そのひとが正面に座って、安い方のビビンパをつついていた。

ケチくさい頭の中。義理で付き合いをした方がいい、という反射。何に何の意味を付けてゆくか、わたしにとって悉く、反る。しょくばのウワサ話、そこに悪意が混じらない話であっても。なぞっていらない。わ!

毛糸編みを少しした。セーターにするか、どうするか。ストールもいいわね。それと、おいしいワインの瓶を開けた。オーガニックなやつ。前に夏に開けたことがあり、夏の味。ってふうにわたしが覚えていて、

ワインのおいしい味が覚えてられるなら、ワイン飲んだほうがいいね。甲斐があるとおもう。

TORABARA かんなづき7日

しごと先で、ランチを同僚とごいっしょする。趣味嗜好の分布が、互いにあって、どこかに類似があるかも知れないけれど、全く無い。かもしれない。誰、アンタ。凡そどうでもいいとわかって雑になる。いっしょに行かなきゃよかった。

夜は、海のそばにある、食事スペースにて、もちもちしたのが入った飲み物をいただく。それと

一人会議していた。旅のこと。閃きがあった。夢中になって時間を忘れてる時間。

麦がいいやつで重たいパン。を買う。上等ヨーグルト。輸入チーズは3種類選んだ。

たゆたゆとした夜の海の写真

TORABARA かんなづき6日

黒にも色々ある。赤味とか青味とかを帯びる。濃ゆい淡い、艶やかかザラザラ、とか。黒い絵を見に行った日。

浜口陽三さんの絵は静謐さがたまらず、年に何度も絵の前へ行きたい。しばらくは会場にわたしだけ、独り占めしたわ。しずけさが増した。そののち、人形町の珈琲屋で一服。

移動して吉祥寺。銀河鉄道の夜の、翳り絵の展示。画面のあかりがぐっと暗いやつが好きだった。木の茂みから見る星空のあかるさ。満月の日にお部屋に落ちる青いひかりといんしょうがかさなる。とてもいいと思った。

閉店まで1時間ある、材料屋さんを徘徊する。つかってみたい毛糸、と目が合って掴む。イングランド産ですって、ステキ。しばらく休んでいた会員を復活した。材料屋さんへは通うもの。今日一番しっくりきたことは、いいと思った毛糸が買えたことかもな、と帰る道中どこかほくほくしていた。

TORABARA かんなづき5日

見たい美術を、見て回ることにしていた日。フリーパスな交通券も、買っちゃいましょ、原宿スタート。

目黒駅で降りる。松岡美術館にて、印象派。ピカソの絵が、好きだった。しばらく佇む。

ヴァラドン。おだやかな風景画は珍しい。

馬が陶器で作ってあるやつ。馬のダービーとかやってたらしい。髪長いのが一等だった。

こちら。
わたしが好きな馬。立て髪の束感がいかすわ。

山手線で、新しめの駅って5年くらいも経ってるっけ、で降りてみた。ここの歩道に覚えがあった。来たことがある。短期バイトの面接で入ったことがあるビル。わたしは余計な質問をして、落選した。メズラシイって言われたっけ。面接官は顔も首もアトピーで真っ赤だった。

あんまし踏みたくない土地ってある気がする。いつまでも工事中で発展していない。スタバの雰囲気は、良かった。駅構内を広々見渡せるバルコニーがある。

移動するとき、快速に乗ったら、降りる駅を通り過ぎた。引き返して新橋。1900年頃のパリを懐かしむための展覧会。何もかもが伝説になった時代のムードを楽しむ。物販の本の揃い方がよいわね、パナソニック建築部門なビル。

カフェ黒猫を飾ったポスター。

またしても、移動。上野へ。博物館は夜間も開いてる日。古い建物に、なにかが潜んでいる気配がある。建物の風格がある、建物に息がある。夜に闇がある。いい夜だ。

縄文土器が見たい。

ありましたっ

ひっそりとしたレストランにて、熱燗と牛肉膳をいただきましたの。乙だわ。

さあ、もう帰ろっと。