幾層も、バイトした日の思い出は積もっていて、朝から、このビルを見上げて、会場に行ったっけ。
今は、乗り換えで利用している駅。
神社へも行って、日本酒の樽を、銘柄を読んでゆく。それから、美術展の最終日に、間に合った。美人画、17世紀に書かれた屏風で、6人の女性の着物柄が、大胆に展開していて、とても良かった。
吸う息が薄い、ひっ。という冷やかさが混じりはじめた、このカンカクは、認定してよいか、この状況は手放して、新しく相応しい場所、出逢いを信じてみるか。オファー。が
オファー。は、ここ20年、地を這ってこちらにへばりつくような類になってる。それで、記号みたいな呼び方の、ぶんざいを、私が続けている。
社会的な名声を付けたサラリーマンの、逃げ腰を、数えた話。わたしの側が、なにを体験したくて、これらを引き寄せてきたか。今の幕をおしまいにして、もともとの基地に戻りたい気持ち。
出来事を面白がるベースは、専門学校にいた、美大受験を失敗して4浪した、やさぐれた女。この友人から授かってるとおもう。たぶん、サラリーマンの様子を垣間見ていることとか、コスプレみたいに、ストッキング穿いてる、この感覚を、楽しもうという、遊び心で、今のぶんざいを演ってる。
当の4浪女は、専門学校生活以降、世間とまるきし馴染まず、私とは連絡先も途絶えてしまってるけど、彼女の感性を今ここに蘇らせることが、わたしを助ける。まさか、こんなにベタに、彼女を讃える気になるなんて。わたしにとっても、世間は、なじむはずもない場所だったのであり、
ようやくわたくしの、化けの皮が剥がれる。というもの。