TORABARA きさらぎ11日

建国記念日。神社さんへ参り、太鼓の音が聞こえた。となりのとなり駅、から歩いた所にある美術館へ行く。ここの美術スタッフさんの対応は、年寄り客に特化しているというか、あまり接して気持ちいいものではないため、なるべく関わってこないでね、という防御がいる館。作品は、毎度、抜群によくて、今日はどうしても来たくなった。

もう20年も昔か、奥村土牛さんを、ここで知った。姪っ子の和服姿の絵が展示されている。この子は、早世して、なにか不運で、いつも美しかった。

という土牛の文が寄せられていて、わたしはなみだぐみそうになった。人の存在への、まなざしの、真実味にふれるかんじ。人の格調に寄り添う、というのかな、なんか好きってことを言い表わすときの、距離というか。

田舎者が決まりきった的に一辺倒にベタベタしてのぼせる。人に、白か黒かしか色を塗れないひとばかりを見てきた。存在を照らすとは、どういうことか。見解の広がりの豊かさは、たった一文の中にもあらわれる。

駅に戻り、雑貨屋さんで歯ブラシを買って、歯磨きもして、川崎へ行きたくなっちゃったわ、厄除けの寺へ。何十年ぶりかしらね、タンキリアメを包丁でリズムつけながら、トントンカットしている光景を覚えている。あらためて、大きなお寺さんに、感嘆した。

屋根、横に長い。

大きな太鼓を絶賛叩きまくり、火を焚いて、お護摩祈祷の最中だった。明日からまた、株がうまくいきますように。悪い気配は、消して下さい。

川崎駅行きのバスに乗り、駅ビル散策。お目当ては、山と高原の地図。あった!

地下街でコーヒー飲む。アメリカンがいい値段ね、と思ったが、もの凄く美味しかった。また、ここで、飲みたいわ。休みの日の行先で、ここら辺りのことが気に入った。

寺へ、誰と一緒に行ったかを、思い出していて、わたしは一生そのひとと行く行き先を増やしていくとおもっていたのに、数えるほど。ぜんぶ言えてしまえるのかも。たぐっていて、おもいだしたことでこぼれおちてしまわないように、その像をその像のまま、きおくのなかに温かくもどした。