わたしが、はじめてそのお寺をたずねたのは、8年くらい前になる。
お寺なのだけど、祈願をしてくださることで檀家さんがいらっしゃる。寺といいますと、墓があったりして、妖怪がいたりして、ぶっそうなかんじとおもっていましたが、祈願寺といいますのは、幻想的です。夜に燈籠だけ灯っている風情など、とてもとてもよいのです。
そして、願い事が叶う。秘儀といわれている朝のお祈りがあり、ご縁を結ばせていただいた。ご縁を結ぶというのは、朝5時に、拝む場所に座ってましたってこと。
そののち、宝がわたしに投げ込まれたみたいに、開運した。
1年目に、住んでいた家(湿気た古くてボロいアパートの1F)から、出ることになった。そして、こんな気持ちのいい家があるのか、というところにおひっこし。新しい家は、鳥のさえずりがきこえる、木々をみわたせる、陽当たりのよい、お寺さんの食堂と居心地がそっくりなのだ。
2年目。わたしはおしごとにはぐれていたのだけど、ここで祈願させていただいた数日後、とんとん話がまとまって、とびきり憧れの職場に通うことになった。
欲が出てきてしまう。くれくれ。それで、ただただ、かんしゃすることにしなくちゃとおもった。くれくれ、になった年は、なにもおこらなかった。
わたしは、生かされているのだということ。苦労したこととの取引で、なにかよいことがおこるというのではない。いきものとは、ネアカな存在なのかもよ、とおもう。