風が強い、寒い朝。こんな日も梅祭り。野外で植木屋さんが、突っ立ってなくちゃいけないおばさんが無表情で、こんな日の商売は苦労だとおもった。
美術を見に行く。1年のうちに何度か行っている。常設の彫刻は、どこになにが置いてあるか、図にかけるかもしれないくらい、馴染みになってる。今日は、エミリオ・グレコ「水浴の女」に、はっとした。
渋谷廻りで帰宅するとき、急に古本屋さんに寄りたくなる。暗くなってからの、ランプの灯りが照らす本たちは何故にほっとするのか。いくつかの背表紙に呼ばれている。一晩かんがえよう。ちょっと遠回りになって、帰宅して、
近所老人の友人に、旅の報告をするべく、カフェへ。旅じまんみたいなのを長々と話して、こんなにいい旅をしたのは、河口慧海を読んでたから。という結び。
本州最南端の町にて、川沿いの道路を歩いていたら一瞬で、かぶっていた帽子が川へ落下。プカーと水に浮いた。風がはかりしれない突風。呆気なかった。
帽子は、この旅のためにプレゼントされた、まだ3日しかかぶってないやつ。川に落ちた写真を撮るべく覗いてみる。ガードレールを跨ぎ、2段分、崖を降りれば川岸になっていて、行けそう。
とにかく相当なアクロバチックなやり方で、帽子を取り戻した。崖を下るほうはまだしも、川に靴ごと入ってやっと掴めたこと。崖を登るのに橋に渡してあるパイプ状の管につかまって、まさかの懸垂。しかもいちど体がグランと振られた。
地上の道路にもどってくることが出来て、濡れた帽子を、その辺の草で拭く。タオル代わりになるピンク色の雑草がちょうど絨毯みたいに生えてる。花をいっしょくたに毟ってることですこしなぐさめになった。一連の冒険は用意されてるみたいだった。
人には克服できるギリギリの試され事が与えられる、その最たる体験でしたとさ。